□ 急がば回れ   (H19 3・24)

 この数年間、経営革新計画の策定に関ることが増えました。 特に、公共工事の激減の影響で受注高が減少した中小建設企業が取組むケースが多く、既に十数社の計画のアドバイスをしてきました。
 特に、事業領域を公共土木工事を中心にしたきた建設企業にとっては、建設行政転換の影響が大きく、根本的に経営方針を見直さざるを得ない状況が続いています。

 ところが、こうした経営環境の激変の中にあっても、中小建設業者の経営トップは、割合のんびりと構えている方も多く、「仕事がない」「コスト割れで大変だ」と口では言いつつも根本的な対応策に取組んだ企業が少ないように思えてなりません。また、いつか高度成長期のような状態がやって来るとでも思っているのでしょうか?。

 セミナーや講演において、このような対応の遅い経営者に向かって「危機感が足りない」「もう少し本気で経営革新・経営改善に取組まないと・・・・・・」ということは容易いことですが、それでも新たな経営行動を起こす経営者の割合は相変わらず少数のようですようです。どうしてでしょうか?

 実際に正確な調査データを見ないと何ともいえませんが、又景気が戻ればよくなるだろうという楽観的な見方の経営者が周囲を見渡しても少なからず存在します。それとは反対に「何とかしなくてはならないが、どこからどのように手を付けたら良いか判らない」と危機感はあるが、少しあきらめの境地の経営者も多いのではないかと思います。

 このような建設業の経営者の姿勢は、
「どうにかしたいけれど、どこから手を付ければ良いのかわからない。だから動きたいけど動けない」という商店街の商店主とよく似ています。

 やる気があるけれどもどうしていいかわからない経営者に対して、経営コンサルタントとしてアドバイスするとしても、経営革新・経営改善等はある程度時間もかかるし、それ相応の労力をかけないと(それも経営者と二人三脚で)出来ないということを理解していただきたいと思います。

 経営者の多くは、即効性が高く、短期間に効果が表れる
“戦術的”コンサルティングを求めようとしますが、それに応えられる“魔法使い”のようなコンサルタントはいません。現代のように、環境の変化が激しくかつ複雑で成熟した時代には、余程の卓越した技術や優越性の高いノウハウ・特許等の強みを有している場合を除けば、どんな業種においても、直ぐに効き目のある特効薬的手法や経営革新の切り札はなく、「日々、経営の基本をコツコツと実践していく」ことが、時間はかかっても最も確かで効き目のある方法であることに気がつくべきです。 (実践の方法や仕組みづくりには多種多様な手法はあります)

 しかし、現在の自社の状況次第では、そんな呑気なことも言ってはおれず、“カンフル”を打たなくてはならないケースもあるでしょう。しかしその場合でも危篤状態を脱すれば、今度は経営の基本(当たり前のこと)を当たり前のこととして継続して実践することが経営改善・革新の近道であることを知って欲しいと思うのです。

 同業他社が新分野進出するから自社もとか、あそこが経営革新計画を申請したから当社だってとか簡単に戦術を求めず、先ず自社の<健康状態>を知り、どのような
経営戦略が適切か模索することから始めて欲しいと思うのです。

 それも出来れば第三者の冷静かつ的確に分析した実態を認識すること、そしてその実態に対して言い訳はしないで謙虚に認めること、これを改革の出発点にすることが肝要です。

 経営の基本とは、ごく当たり前のことばかりでつまらない、コンサルタントらしくハット驚くようなことを言ってくれ!と思われるかもしれませんが、疎かににされていることが多く、それが経営不振の根源になっているケースが殆どなのであえて下記に列記します。
 御社の実践度をチェックしてみて下さい。

                         
経営の基本

 一、 自社は「何のために存在し、誰のために存在するのか」を明らかにし、全社で実践すること 
 一、 自社の商品・サービスを他社よりも優れた品質にして顧客に提供し売上をあげること
 一、 経営計画や利益計画等すべてを5W2Hで明らかにし計数管理に基づいて実践すること
 一、 原価や経費などの固定費は、目標を立てて徹底して削減すること
 一、 売掛金の回収は出来る限り早めること
 一、 利益は不慮の出来事に対処できるように内部留保すること
 一、 ゆとりのある資金は新たに事業に投資して売上の源泉とすること
 
 上記のように、ごくごく当たり前のことですが、これを日々実践することは楽なことではありませんし、地道な手法で、しかも漢方薬のように効き目も時間がかかります。でも、じわじわと効果がでて御社のサプリメントになることは間違いありません。耐力のある企業は試してみて下さい。
           


           経営耐力の増進、疲労回復には
《急がば回れ》が一番です。