□ 商店街は蘇れるか? (4/6)
商店街の活性化問題に初めて関ったのは、昭和63年から2年間地元の「商業近代
化地域計画の策定」事業の実施計画の段階だったから,かれこれ20年になります。
当時、企業城下町の商店街としてとして数十年栄えてきましたが、造船業の衰退
と共に活気を失ってしまい、何とかしようと市と商工会議所の事業として取組んだ
のが上記の事業でした。
このプロジェクトは、大学教授、商業コンサルタント、都市計画コンサルタント
等そうそうたるメンバーで構成構成されていました。
私は建築家として参画し、このプロジェクトチームが創った構想の基本計画をデ
ザインするいう役割でしたが、この企画をプロデュースした経営コンサルタントの
Dさん(ショッピングセンターのスペシャリスト)の影響で経営コンサルティング
の道に入り込むことになり、流通業や商店街問題に関るようになりました。
この計画は、簡単にいうと中心市街地を再開発という手法を使って大型商業集積を
つくるという提案で、海を正面に据えたコンセプトは魅力的でしたが、残念ながら実
現しませんでした。
その主な原因は、郵便局・警察等公的施設の移転が前提の計画で他力本願のところ
があったこと、他の地権者をはじめとする権利者のコンセンサスが十分に得られなか
ったこと、総事業費が想像していた金額よりも過大すぎ?たこと、従って商業者がリ
スクを危惧して決断できにくかったこと、商業者同志のコンセンサスが得られなかっ
たこと等が考えられますが、行政の強力な支援を得られるほどの当事者の熱意がなか
ったことと、バカになって関係者を引っ張っていくリーダーがいなかったことも大き
な要因だったのではないでしょうか。
このように、事業に関る権利者も多く、利害関係が複雑でしかもエリアが広いプロ
ジェクトの場合、行政の強力なバックアップとコーディネーターの調整力、そして強
力なリーダーシップを有する商業者のどれが欠けても頓挫する可能性が高いと思いま
す。商店街の構成員が共同で事業を行う場合、一企業がショッピングセンターを造る
こととは比較にならないくらい難しいものです。従って余程の結束力が強くて同じ将
来像を描きながら実現に立ち向かう構成員の集まりでない限りゴールに到達できない
ことが多いようです。
これまでの商店街活性化のパターン
当時の商店街活性化の切り札的な施策は、カラー舗装、アーケードの設置などハー
ドの整備に始まり、特定商業集積法や街づくり会社構想、高度化資金等を活用した商
業集積づくりが主流でした。
これらの施策を活用してつくられた大型共同店舗の多くは、これまでの直線的かつ
平面的な商店街を、垂直的な核店舗を中心とした、小規模商店の寄合い風のショッピ
ングセンターという業態に転換した施設が典型的でした。
そうすることによって商店街商業不振の最大の原因に挙げられていた駐車場不足も
解消しました、ワンストップショッピングも出来ます、時にはイベントも館内で行い
ます、と商店街に不足していたモノの整備はできましたが、それで中小の小売業が以
前のような活気を取り戻せたでしょうか。しばらくは集客力も上がりましたが数年す
ると徐々に沈滞しはじめ、近くに大型ショッピングセンターが出来ると加速度的に売
上が落ちてきました。
それはあくまで規模・設備等の面で大型ショッピングセンターとなんら遜色のない
ハードとしての商業施設が出来ただけに過ぎず、品揃えやオペレーション上も互角に
出来る店舗になったというわけではなかったからです。
実質は、寄合い共同店舗であるばかりに大型ショッピングセンターのようなコンセ
プトに基づいたオペレーションも難しく、運営方針や経営方針も統一感に欠けるなど
の弱みを抱え、最も重要なマーチャンダイジング(商品計画)にしてもは個々の店主
に任せた店舗の集積ですから競争力が弱いのもうなずけます。
高速道路の整備が共同店舗の衰退を早めた
その当時は、生活者のニーズも現在のように多様化しておらず、また高速道路網も
それほど発達していない狭い商圏での競合でしたからまだやっていけたのですが、今
日のように、半径50km〜100kmの商圏が当たり前の時代には、ますます巨大
化した複合商業施設(商業施設+アミューズメント施設)が郊外にできるとストアコ
ンセプトのはっきりしない寄合い共同店舗の品揃えではとうてい互角に戦えないのが
現実です。
それは丁度ディズニーランドやハウステンボス、USJ等の数100kmの商圏を
カバーする大型テーマパークの出現によって消えていった地元密着型の中小規模のレ
ジャーランドのケースとよく似ています。
地方の小都市商店街の目指す姿
大都市の広域中心型商店街や中都市の地区中心型商店街はともかく、小都市の近隣
型商店街は、商圏がますます広域化する環境の変化からみても、生活者のニーズが個
性化・多様化・複雑化した現在では、大型店を核店舗とした従来の寄合共同店舗に活
路を見出そうとすべきではないと思います。
郊外の巨大ショッピングセンターと店舗施設の規模や、アイテムの豊富さ、価格な
どで競うのではなくて、あくまで地域密着の利点を活かして<顧客の欲しがる品・喜
ぶ品>を徹底して時間をかけて探索する、そしてそれを自店の《逸品》として店頭に
陳列する。この小回りのきく《逸品探し》にどれだけ時間と情熱をかけれるかが地域
の生活者に支持されるお店になれるかどうかの分かれ目です。
商店街は身近で遠い存在?
商店街は品揃えが悪い、欲しい商品がない、買わずに出にくい、だから入りにくい、
などの声をよく聞く。一方、商店主は、価格では大型店に勝てない、駐車場がないか
ら商店街にお客さんが来てくれないと言う。しかし、そんな言い訳や愚痴はもうやめ
ましょう。
たとえ駐車場がなくても、自転車、徒歩で来れる半径500m〜700m、広くても1
km以内のお客様をターゲットにしてその方たちが本当に欲しがる品を掘り起こしま
しょう。最寄品、買い回り品を中心に商品を絞り込み、あまり知られたブランドでな
くてもあなたが選んだ<オススメ品>がきっとある筈です。専門店としての経験をい
かした<オススメ品>を探しましょう。
あなたのお店と競合する大型店にない、これぞと思う商品を商店街の構成員がみん
なで探しましょう。決して問屋さん任せで商品を選ばないであなたの目で、あなたの
お店のお客さんの顔を思い浮かべながら品揃えをしましょう。
かって、商店街は地域の人達にとっては身近な存在でした。ところが、現在は近く
で遠い存在になっています。商店街の店主の皆さんが一致協力して、地域のお客さん
にオススメできる品揃えをする、すなわちお客さんの<購買代理人>という小売業の
原点にもう一度かえりましょう。 そうすればきっと、身近な存在になれる筈です。
大型店に負けない(武器)を持とう!
何事にも基本がありそれが大事です。品揃えが出来ても、それをお客様にお知らせ
する効果的な方法がなければ宝の持ち腐れになります。
陳列の方法(キャッチコピー、POP)、消費者の心理、商店街のコンセプト、販
売促進、ITの活用、戦略的なバーゲンセールの仕方等駆使した売り方の基本をもう
一度系統だって会得し、それを<武器>に商店街をもう一度かっての姿に蘇らせよう
ではありませんか。
商店街活性化計画は<絵に描いた餅>で終わりやすい?



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