“あの頃”を聴く

 忙しくなればなるほど無性に音楽が聴きたくなることがある。いつ頃からだろうか。
 大学の卒業設計の頃も製図室にプレイヤーを持ち込んでLPを聴きながら徹夜していたが単なるBGMに過ぎなかった。独立して事務所を開設して無茶苦茶仕事が立て込んで遅くまで事務所にいた30代の後半頃にはよくレコードを聴いていたような気がする

 つい十年前までは、鉛筆を持ってドラフターに向かうとタバコが離せなかったのと同じようにアフターファイブはいつも音楽聴きながら仕事をしていた。
 今では、タバコは離せたが、仕事がたて込んでくるとエネルギーを補給するためにCDはいまだに離せないようだ。 
 まるで赤ん坊のオシャブリのよう
と笑われても・・・・。

Vol−1

MJQ

 最初にMJQに出会ったのは高校2年生の時だったような気がする。随分昔の話だから確かな記憶ではないがその頃のフランス映画でよく流れていたモダンジャスに惹かれてよく神戸放送のリクエスト番組を聴いていた。その番組で毎週多くのリクエストを集めていたのが映画「大運河のサウンドトラック盤<ひとしれず>であった。
 小柄でキュートでしかも妖しく美しい主演のフランスの女優フランソワーズ・アルヌールの心理的な動きにぴったりの曲だった。

 MJQはピアノ、ビブラフォン、ベース、ドラムスで構成されているが、私が最も引かれたのはミル
ト・ジャクソンのビブラフォンの音色だ。メカニックな音の玉が次々に転げていくような演奏は
これ
までのスタンダードジャズとは違う響きでいわゆる“しびれた”ものだ。ジョン・ルイスとのハーモニー
も捨て難いが・・・・・。ベニー・グッドマンやカウント・ベーシー等のフルバンドによるスゥイングど
は対照的に静かな室内楽風ブルース調の曲が多く、BGMとしてはこの上ない演奏で数十年 お世話になっ
ている。

 このグループには他のジャズ・コンボにみられない特徴があって
クラシック演奏家なみの正装で演奏
し、編曲も従来の黒人のジャズメンにない独特のクラシック(バッハ、バロックのフーガ、カノン形式)
をベースにしたアレンジスタイルは、重くもなく軽くもなく心地よい“癒しと昂揚”の響きである。
 
◆ 好きな演奏ベストファイブは、

@ひとしれず AAマイナーのブルース Bバグズ・グルーヴ Cネイチャーボーイ Dチュニジアの夜

この頃は毎週少なくとも2回は映画を観ていた。梅田や三宮、小遣いが乏しい時は十三、や難波の映画館を
はしごして、ジャクリーヌ・ササール、ジンセバーグ、ジャンヌ・モロー等の映画を追っかけていた。
 丁度MJQの全盛もこの頃かもしれない。

(1975)

(2007)