No8
        
            
「まちのエンジン」を読んで


       

                  編   者:日本ライン広域観光推進協議会
                  制作協力:マチラボ  (まち楽房有限会社)
                  発 行 所 : 風 媒 社  ¥1.500円+消費税

    

       最近、全国の各地でまちづくり、まちおこしが盛んに行われている。   
       商業を核としたまちづくり、工業を核としたまちづくり、観光業を核とした
      まちづくり、情報関連産業を核としたまちづくり、大学など高等教育機関
      を核としたまちづくり、 あるいは非営利活動を核としたまちづくりなど、そ
      の方向性や手法は様々である。
 
       本書におけるまちづくりの核は<ひと>である。 木曽川周辺地域で<
      一生懸命に生きているひと>が<未来を照らし、まちを動かす「エンジン
      (縁・人)>であるというコンセプトがはしがきから本編、そしてあとがきま
      でその根底に流れている。

       まちづくりは、人づくりという。これは、どこのまちにも、解決しなければ
     ならない様々な問題が渦巻いているが、それを解決するだけでなく、より
     良い方向に改善し、より住みやすく、より生きる希望が持てるようにするこ
     とがまちづくりの原点であるが、そのためには、地味だけれど、やりがいの
     あるそういう仕事を、中心になって、時には裏方としてしっかりと支えられる
     人を育てなくてはならないことを意味するのであろう。

       本書は、日本ライン地域で<一生懸命働き、活動している素敵に輝く人
     達>50人を紹介することで「木曽川夢空間の少し先」の生き方のヒントと元
     気を感じとると同時に、読者のまちにも同じような<素敵に)輝く人達>が存
     在することを気づかせてくれるのではないか。でもそれだけではいけない。
      パッとしないまちでも、よくよく見ると「何かある、誰かいる」のである。
       あとがきに出てくる延藤安弘氏が提唱するまちづくりの三段跳び「たんけん、
     はっけん、ほっとけん」と見直すことも重要であることを気づかせてくれる。
  
       

                        
     本書の中で特に興味深いのは「町衆コラボ寄合」である。その合言葉
    「住めば都。来れば虜」もまちづくりの究極のコンセプトとして肯けるが、な
    によりその成り立ちが4市1町の地域住民や市民活動団体・NPO等と各市
    町の観光部局職員のワークショップであるところが素晴らしい。 広域に亘
    っていることも珍しいが、それよりも「町衆コラボ寄合」がまさにシューマッ
    ハの言う「まちづくりABCDライン」(注-1)を絵に描いたような協働体であるこ
    とがまちづくりのお手本と言えば褒めすぎだろうか。


       本書は「味にこだわる」「ホンモノをつくる」「心からもてなす」「まちを育てる」
     「自然とふれあう」「互いに支えあう」の六つのまちづくりキーワードで構成さ
     れている。それぞれの登場人物の生き方や個性が言葉ににじみ出て興味
     深いが、50人の根底に共通して流れる「こだわり・心意気・情熱」もさることな
     がら<ふるさとへの誇りと愛情>と<ふれあう人への思いやり>がインタビュ
     アーの琴線を打っているのが行間に感じられて、ふとこの人たちに会ってみ
     たくなるような気にさせられる。


      まちづくりは難しい。その手法に「正解」や「終わり」は存在しない。それは
     その地域に生活する人間の営みに深く関っているかに他ならないからである。
     従って、本書を読んで「木曽川夢空間事業」から「何をすればいいのか」を
     学ぶことは危険であるが、まちづくりの「仕組み」を参考にすることと、当該事
     業の目指す理念と、<まちのエンジン>探しは、地域は異なっても参考にな
     るのではないか。

   

   
    注-1:イギリスの経済人類学者シューマッハが「うまくいっているまちづくり
     にはかならずABCDラインが存在する」といった。A(アドミニストレーション)、
     B(ビジネス)、C(シチズン&コミュニティ)、D(デモクラティック・オーガニゼ
     ーション)の各社会セクターがパートナーシップを創造して地域の課題やニ
     ーズを解決する手法を見つけ出していく、ということ。


                   
                                     2007/5
  No7
            おすすめ経営書                                          

        

 
      全国的に活気のある商店街が少ないですね。
      近隣の商店街でもこの二十数年、徐々に空き店舗が増え、年々街
     から活気が失せています。お客さんを郊外の大型ショッピングセンタ
     ーやホームセンターに奪われ、全国的に専門店の苦戦が続いてい
     ます。 勿論例外もないことはありませんが………。    
 
      商店街の活性化対策も様々な支援策を駆使して行われてきました
     が、残念ながら切り札的成果は見えてはきません。どうして個店では
     売れないのでしょうか、何故、商店街には集客ができにくいのでしょうか。

      
又、かっては集客力の高かった大型店といえども経営不振に陥った
     GMSも多く存在しますが何が原因なのでしょうか。流通業界を取り巻
     く経営環境は多様・複雑でなかなか先が読めない手探りの状態ですね。

      この本は、商品・サービスを<売る>という切り口とは対極の<買う>
     という行動の側からマーケティング活動を捉えようとするビジネス書です。
      マーケティング活動のすべてを「感性」で解き明かそうとするのは少し
     乱暴な感もしますが、<売る>ために必要な手掛かりの一端を与えてく
     れるかもしれません。

      苦戦している小売店・飲食店等を対象に書かれた本ですが、それに限
     らず建設業、特に工務店の経営者の皆さんにも参考になりますのでご

    
 紹介します。
       少し長くて退屈かもしれませんが、参考にして下さい。

                                 

             
「感性」のマーケティングとは
 
      『「感性」のマーケティング』とは、人の「感性」というものをビジネスと
     して真正面から扱って、マーケティングに活かし、ビジネスとしての現
     実的な成果を上げていく、そういうマーケティング理論であり、マーケテ
     ィングの実践手法だ、と著者ははしがきで定義づけしています。

      売れるとは?

      「売れる」という結果が生じるためにはお客さんが「買う」という行動が
     必要である。  
      「買う」というのは人間の行動なのだから、考えるべきことは「どう売
     ろうかな」ではなくて「買うという行動をしてもらうためには何をしなけ
     ればいけないのか」ということだ。
      そして、この行動というものの背景にあるのが「感性」であり、したが
     って「人の感性」と「行動」を軸にして行っていくビジネス活動が重要で
     ある、と説く。
      具体的に「感性」を扱うマーケティングを説明するのに、ある地方の
     酒販店で実際に起こった事例をあげています。

     
 その事例はこうです。
      毎年20本ぐらいしか売れないお酒が600本売れました。その次の年
     にはなんと1,080本も売れたのです。どうしてこういう事態が起きるのか、
     著者は「この酒屋は商品や数字ではなく、人の感性と行動に目を向け
     てビジネスをやっている」からだと説明します。
      どんなことをしたのでしょうか。
      この酒販店の主人は、個人や法人のお客さん向けにDMを送ったり、
     親しいお客さんにはちょっと手書き風の手紙を書いて送ったそうです。
      その他にはニューズレターとか蔵元を招いての飲み会を催す程度で、
     とりわけ特殊な販売促進をしているわけではないのですが、こういうこ
     とをやっていったなかで、600本、1,080本と販売を伸ばしたのだそ
     うです。
     
     
 この事実をどのように受け取られますか?
      「眉唾モノ」とお考ないでしょうね?
    
      ここに紹介された小さな事例は、「最先端のテクノロジーを使ったと
     か、目新しいデータ分析システムを導入した」とかではなく、ただ「人
     の感性」というところに視点を置きなおしてビジネスをとらえなおしたら
     こういう結果をもたらした」のだと言う。
  
      皆さん、この事例をどう受け取りますか?そんなにうまくいくのかな。
      
もし、そう思われるのならば、本書をお買い求めの上お読みください。
      そんな時間はないよとおっしゃるあなた、それでは我慢して、この「要
     約版」を読んでみて下さい。


      
「人の感性」に視点を置きなおせば売れる」ということはどうことなのか。
      お店の経営者は誰でも「売りたい」のでここが一番聞きたいところでし
      ょう。      
      著者の理論を要約するとこういうことです。


                                              


       
 「感性フレーム」で見えて来る新しい世界

      さらに、『人は「快」と感じることしか行動しないという原則がある』と
     言う。そうするとビジネスをやる以上、お客さんの行動に直結する、生
     理的な快・不快以上の心理的な快・不快というものをより深く知る必要
     がある。
      それなのに、小売業でも製造業でも、人の感性や行動からビジネス
     を見ている人は少なく、そのためにビジネス判断にズレが生じ、ビジネ
     スチャンスを逃すことがある、と著者は述べる。


      
ここで言う「ズレ」とはなにか。
      例えば、「売れるものがないから売れない」「価格が高いから売れない」
     とか「立地が悪いから売れない」などという現象でも、原因と結果の取
     り違えるケースを事例で説明する。
    
      事例は省略するが、要するに『「売れない」ということは、人の感性
     がつかまれていないのでその結果「買う」という行動をしていないのに
     過ぎないのだが、多くの場合、こうしてものごとの起こる原因を取り違
     えてしまって、その結果ビジネスが持っているポテンシャルを活かしき
     れないでる。』と危惧する。


      また、サプライチェーン・マネジメントにも触れています。ここも重要
     なポイントだから少し要約して説明しましょう。


      「サプライチェーン・マネジメントを行い、効率性や迅速な対応を達成
     していくのは大事なことだが、(中略)ひとの感性が行動を生むわけだ
     から(中略)原料段階、開発段階から、広告、販売、(中略)その後の
     アフターフォローまでありとあらゆる場面で価値創造のマネジメントが
     なされる必要性があるのに実際はできていない。
      つまり「一気通貫」でなされていないことを「もったいない」と憂う。

      
更に付け加えて「残念なことは、次のことだ」と力説する。

      「多くの方は、少なからず、頭でわかっていても行動しないという傾
     向がある。(中略)ビジネスに、奇跡はなく、奇策もない。 ビジネスで
     画期的な成果を上げる決め手は感性フレームと実際の行動である」と。


      
小売店経営者のみならず経営者には耳が痛いであろうがまさに至
     言です。
      更に「売れない。売れない」といいながらも<実際の行動>を起こさず
     にいる経営者に苦言を呈している。


      メーカーから店舗までのチャネルの中でサプライチェーン・マネジメ
     ントを実施したとしても、肝心のエンドユーザーと接する小売店が、感
     性フレームを持たず、単にプライスカードがついているだけであとは
     置いてあるだけだったりしてお客さんにその価値が伝わっていなかっ
     たりする、こういう例はそこらじゅうの商店街で起こっている。
 
      そして「感性」は常に変化する、不変ではない。「今の消費者や顧客
     の感性が何を求めているかを知り意識することは、企業活動上非常
     に重要であるとの認識は持っている」が結果的には「無視したような
     行動になっており(中略)企業活動そのものがズレてしまう」と述べる。
 
     
 ここからさらに著者は実践的な話に踏み込んでいく。
 

      
 感性でビジネスで組み立てるためのモジュール
   
     「感性フレーム」からビジネスを組み立てていくには、基本的な思考
     の材料がある。これをモジュールと呼ぶ。
 
               
要約すると以下のような要旨です。

      主なモジュールは
     @感性トレンド A感性メカニズムB認知メカニズムの三つである。
 
      「感性トレンド」とは変化する人の感性のゆくえで、人が「快」を感じる
     ことは大きく振れる場合と小さく短期間に動く場合があるので、そこを
     見極めないと「顧客満足」を高める企業活動にズレが生じる。
      また、携帯電話やインターネットのようなテクノロジー等も生活習慣
     を大きく変え、その結果人の感性も変わる。同様に社会環境や自然
     環境等の変化も人の感性に影響を与える要因である。

      「感性メカニズム」とは、人の感性とは脳の高度な情報処理に基づく
     ものだ。
      例えば、町を歩いている女性を見て「うわ、 きれいなひとだなあ」と
     感じる、これが感性のメカニズムだ。どういう要素がそろえばきれいだ
     と感じるのか、どういう要素が最も影響力があってきれいだと感じるの
     か、そういったものを感性メカニズムとして知っていくことは、ビジネス
     の上でも非常に有益である。

      そして三つ目のモジュール「認知メカニズム」とは、人がものを知覚
     したり認識したりすることに大きな影響を及ぼしているメカニズムのこ
     とである。
      その事例として、著者は「子供たちがよく持つ「黄色い傘」「黄色のレ
     インコート」「黄色のビニールでおおっているランドセル」が視認性が
     高く、雨の日にドライバーからもよく見える色だということをメーカー
     が知ったうえで、これらの商品の色を決定していること、そして赤色
     のベースに黄色の文字のマクドナルドの看板なども同じように目をひ
     きつけやすいということを知って作られていること等を紹介している。

     
 事例で興味深いのは、「脳は言われたものしかキャッチしない」とい
     う事例だ。
      例えば、「黄色いものを探して下さい」と命令しておいて、次に「青い
     物は何がありましたか」と質問するとほとんどの方が「青いもの」は思
     い出せない。このテストは、人間の脳は、目に映ったものを一旦脳で
     情報処理をして「見て」いるので、「青いもの」をキャッチしなさいという
     命令を出してやらないと脳はキャッチしない。
 
     
 そこで著者は言う。
      このメカニズムをどうビジネスで活用すべきか。それは、お客さんに
     注目してほしいことや、理解してほしいことがあったら、必ず「言う」とい
     うことだ。
      直接口頭で伝えてもいいし、DMなどのツールに書いてもいい。
      このように、「人の認知メカニズムもまた、ビジネスにとって重要なモ
     ジュールである」という事例は説得力があります。

      この三つのモジュールに加えて、「特定の感性、認知メカニズムに
     関するデータ」も活用する。
      例えば、美容 院のデザインについて言えば、「センスがいいと感じて
     もらえて、かつ気楽に入れる」と感じてくれる特定要素や、レストランの  
     BGMの音量はどのくらいが「快」を感じるか、映画ポスターでは「見たい
     わ」と思わせるデザイン要素などがあらかじめわかっていれば、マー
     ケティングの精度が上がる、と説くが、空間デザインや演出の効果に
     ついての内容は特に目新しいことではない。
                                    

     
 これからのマーケティング活動を左右する六つのインパクト

      @ 提供すべきサービスは「
マスタービジネス
   
      これまではソリューション、つまりお客様が持つ問題解決こそが提供
     すべきサービスであったが、これからはマスタービジネスだという。
      お客さんが困っているモノを解決してあげるだけではなくて「新たな
     目的に気づかせ、それを実現しようとするお客さんを支援する」サービ
     スだ。
     
 これについても建設業界で近年盛んに言われている「提案営業」
     「企画営業」と同じ意 味であろう。


       A これからつけるべき「商品力」は
「感性能」

      これまでの商品は、「機能が向上し、品質がよく、コストパフォーマン
     スが高い」ことが重要であったが、これに加えて「感性に訴える性能、
     すなわち感性能」が重要視さ れる。
      例としてハーレーダビットソンというバイクの排気音。一般的にはうる
     さい音だが、ハーレー乗りにはあの音がたまらないのだそうだ。その
     他の例として、バイオというノートパソコン、アップルのノートパソコンも
     欲しいと感じるのは感性能が高いからだ、と言う。


      B これからの「企業力」は「
伝道力
      これまでの企業力は競争力だったが、これからは「自社が提供して
     いるサービスの価値を伝え、広めていくこと」だと言う。この力を著者
     は「伝道力」と呼ぶ。
      しかも、サプライチェーン全体でお客さんに伝え、共感してもらう、こ
     れが重要だと言う。

      C これからの「顧客との関わり」は
「共感」である
      これまでは、お客さんに買ってもらうために交渉する、説得するであ
     ったが、マスタービジネスに立って、感性能を高め、その価値を伝道
     する力をつける、そうするとお客さんは」「おお、なるほどねえ。いいじ
     ゃない」と感じる、それは共感である。
     「受動的な購買」と「能動的な共感による参加」は大きく異なる。

      これが出来ればリピーター(もしくはファン)は間違いなく増える筈です。

 
      D 顧客の選択基準は「
誰から買うとうれしいか
     『これまでお客さんにとって「合理性」が重要な判断基準だった。つま
     り「どこで買うと得なの?」「どこで買うと便利なの?」ということの方が
     お客さんの感性上優位、心理的な快だったが、今は違う。
      
      大切なことは関係性、「誰から買うとうれしいか」なのだと言う。この
     関係性をいかに顧客と構築するか、このことに力を入れていけば入れ
     ていくほど成果が出ると、著者は力説する。 ビジネスってそんなにウ
     ェットじゃあないよと異論を唱える方も多いと思うが、著者は「顧客との
     関係ツール」を事例で説明する。

      E これからの「企業の収益力の基盤」は
顧客コミュニティ
 
      これまでの「企業の収益力の基盤」は、提供する商品・サービスだ
     ったが、これからは、「関係性のある顧客グループをどれだけの数で
     持っているか」だと言う。
      勿論、商品・サービスがお客さんに満足をもたらすものでなければ
     共感は得られないが、それに加えて<精神的な絆>の濃い顧客グル
     ープが「収益力の基盤」だと言う。
      その例として、アップルやルイ・ヴィトン、ティファニー、ハーレーダビ
     ットソンの顧客グループを挙げる。

     
 ここから先はビジネスの現場でどのように実践するか、について非
     常にわかりやすく述べているので要約して紹介します。


      
 結果を出すための三つの取り組み                                                                            1.お客さんの感性に訴え、感性を育成する

      ひとつは「意味訴求」で意味を伝えるのが目的なので「言葉」を使う
     場合が多い。
      具体的なツールは、DM,チラシ、POP,店内にあるメニュー、店頭の
     看板、HPの画面などである。人によっては、書き方を変えただけで売
     り上げが上がるはずがないと思われるかもしれないが「言葉ひとつで
     売り上げは大きく変わるのだ」と言い切る。   
      そして事例で証明する。
      
その事例については略しますが説得力があります。
 
      もうひとつが「感覚訴求」で五感に訴えるもの。例えば、商品のデザ
     イン、パッケージのデザイン、店の内装、照明、BGM,香りといったツー
     ルだ。そして事例として挙げた、iMac,小岩井乳業の贈答品パッケージ
     デザイン、リッツ・カールトンの廊下の幅などはわかりやすい。

      2.人間的なコミュニケーション

      顧客と精神的な絆を構築するためには人間的なコミュニケーション
     が重要だ。とりわけ今の消費者は、人間的なものが快という方向に
     感性がむいているので重点的に取り組むべき、と力説する。
      事例として、再春館製薬所の誕生日カードや手紙、ある医薬品と化
     粧品のお店の誕生日カード、あるいは会社の創立記念日に花を贈る
     会社等を紹介し、コミュニケーションを図ることを勧めている。
     
      そのためには、顧客名簿の充実や「接する間を空け すぎない」こと、
     「自分のことを語る」ことが大事だという、こともおおいに参考にしてい
     ただきたい。
      今なら、ブログやメールマガジンを活用したり、顧客参加のイベン
     トなども推奨している。

      3.感性を軸にした商品ライン・MDを持つ

      提供する商品・サービスが、自転車屋は自転車を売っており、雑貨
     店は雑貨を、お菓子屋はお菓子を売っているように縦割りになってい
     るが、今重要な取り組みは、感性を軸にして取り扱う商品やサービス
     をくくり直すことを勧めている。

      例えば、ヴィレッジヴァンガードというお店のように、一応全国展開し
     ている書店だが雑貨やスナック菓子、自転車も売っていてお客さんか
     ら見ると面白い店だ。
      これはヴィレッジヴァンガードの感性で選択された商材がィレッジヴ
     ァンガードの感覚で売られている店だ。
      感性を軸にして、商品・サービスがくくりなおせるというのは、新たな、
     そして大きなビジネスチャンスの到来である、という。多分ヴィレッジヴ
     ァンガードに足繁く通う人達の多くは、ヴィレッジヴァンガードのことが
     好きなのであろう。
      この「好き」というのがまた感性だ。そして「人間的なコミュニケーショ
     ンと顧客コミュニティー育成活動が行われるとお客さんはなお好きにな
     る」という。
      もし、今、ヴィレッジヴァンガードが閉店するということになると「やめ
     ないでくれ」という声が殺到するだろう、ともいう。
      それはどうしてか。
      人生がつまらなくなるからだ。生きていくには困らないけれど人生
     が圧倒的につまらなくなるからだと理由づける。

     
 ここまでくれば、ストアロイヤ リティとか言うよりはファンに近いですね。

      
縦割りの商品ラインでない業態として、目的に応じて品揃えをする
     という「スクランブルド・マーチャンダイジング」があるがそれについて
     は理解できますが、ヴィレッジヴァンガードの商品計画については少
     し疑問が残りますが皆さんはどう思われますか?


      
そして、最後に「感性」マーケティング活動を実践していく力を磨くこ
     とが本人の感性を磨くこと以上に必要だと結論づける。


     
 ■ 感性のマーケティング活動をする上で必要なことは

      1. 人間の行動を分解して見られるようになることだ。そのために
     は「時折、そう意識して自分がやっていることを分解したり、他の人が
     やっていることを分解してみる」ことで自然に身につく、という。

      2. 次に「行動のストーリーを描くことができること」が必要だと説く。

      それは「具体的にお客さんに何を働きかければ、お客さんはこうどう
     してくれるのか、その一つひとつのアイデア、さらに何をしたらどうなる
     かとお客さんの反応行動が予測できるようになる」こと、と説明する。

      3.  お客さんの感性をつかむアイデアを豊富にもつことが求めら
     れ、そのためには「一にも二にも情報量」が不可欠である。
      そのためには、「人間の行動や感性に関する本や雑誌などから情
     報を入手することが大切だという。。


    
  結論として著者は言う。

      「人が行動して初めて売上げが生まれる。だからこそ人の心と行動
     を読み解き、顧客をつかむことをビジネスの中心として見据え、具体
     的に実行する。そうすることで売上というものは、思い通りにデザイン
     することができるのだ」と。
 
      
マーケティング活動を行うためには、従来から「消費者行動」に関す
     る新しい概念や考え方が多く提示されているが、これらはどちらかと
     いえばマスマーケティング活動にとっては有効な概念だが、この「感
     性のマーケティング」はどちらかといえばワン・トゥ・ワンマーケティン
     グを実践していく上でのきめの細かい対応に役立つ理論のように思
     える。


     
 業種・業態は異なってもそれぞれご自分の分野に応用してマーケテ
     ィング活動を展開してみては如何でしょうか。 

                         

「「

                                 2007/2

  No6
             水辺のまちづくり考

   
     現在、瀬戸内海には10箇所の「海の駅」が存在してい
   る。瀬戸内海地域はプレジャーボートの隻数が多くマリン
   レジャーが盛んな地域であるが自由に接舷できる桟橋が
   少なく多くの観光資源に恵まれているにも関らず気軽に
   立ち寄ることが出来ないのが現状であった。このような
   状況の中「海から、誰でも、いつでも、気軽に、安心して
   立ち寄り、利用出来、憩える港(場)として海の駅を設置
   することで潜在的なクルージングのニーズに応える」た
   めに中国運輸局が主体となってネットワークの確立を目
   指している。


    今年度まちづくり特別委員会の水辺のまちづくり部会で

   も「海の駅」のについて研究している。中心市街地活性
   化基本計画が機能するかどうかは、核施設である土生
   港周辺の整備の実現化如何による。
    その第1歩が「海の駅」であり、港を中心とした「ウォー
   ターフロント商業施設」や「まちの駅」である。

    これらの施設は、街中からの景観と同時に、海からの
   親水性の高い景観を併せて整備することで、海辺の街
   らしい心地よさと、瀬戸内の街らしい雰囲気が増幅し、來
   街者をもてなすことが可能となる。
                                    
 
           
      土生港から長崎港を望む
       ここに全国のヨットとプレジャーボートが停泊する景色は
       想像して も楽しい。 
     
                     

    同じ水辺の先発事例として、JR尾道駅前の再開発は、
  専門家の間でも「以前の方が趣があって良かった」とい
  う意見もあれば、「オシャレで機能的でターミナルらしくて
  今度の方が良い」とか賛否両論あるが、観光地の玄関口
  とすれば、相応しいスケールと、尾道水道を望む開放感の
  高いデザインは一定の評価を与えても良いのではないか。
    ただ、海面と陸との境がパラペットで区分されており、親
  水性に乏しいのが残念であるのと、かって栄えた港やター
  ミナルで味わえたワクワク感が乏しい。
   これはきっと地域の人々の生活感がこの駅前空間には
  乏しいからではないか・・・・・・・・。

    この事例から学んで土生港周辺のまちづくりに活かすと
   すれば、次のようなイメージではないだろうか。

     海に向かっての開放感のある広場と、親水性の高い水
   辺にする。そして長崎港までの数百メートルを遊歩道で繋
   ぎ、その周辺をコンパクトでいいから飲食・物販のお店が
   立ち並び、さらに病院や宿泊施設・住宅等などが混在か
   つ一体化した街区「まちの駅」を形成する。そこには狭い
   路地も存在し生活感の漂う空間にする。

    一方「海の駅」には、瀬戸内を旅して訪れたプレジャーボ
  ートやヨットが停泊しているおり、住民と旅人がこの街区で
  ふれあい、交流する、こんな水辺の空間を地域の人達と一
  緒につくれたら・・・・・・・・・・・。

     
    

   「中心市街地活性化基本計画」ヒューマンステーション事業イメージ図
                      
      
          「海の駅」候補港の土生港    

                              


                                 2006/12

   No5
        「頭が良くなる家」って本当なの?

      日本経済新聞(平成18年12月15日)の生活ファミ
     リー欄に次のような記事が出ていた。
      それは、 「頭が良くな る家」という住宅プランが作
     られ、そのモデルルームをハ ウスメーカーが作った
     ところ見学者が急増したという内容であった。
      それによると、このプランを
提唱するのは「慶大発ベ
     ンチャー企業のエコスコーポレーション」で、難関中学
     に合格した家二百例を調べた結果、リビングを中心に
     勉強も生活も営まれ、親子関係が密になる部屋の使
     い方をしていたという住宅の要素を集約して出来たプ
     ランだそうだ。


      モデルハウスを設けた地元のO建設のHPによると
     「頭の良くなる家」とは、<家族のコミュニケーションが
     取れる家>だと定義している。
      ほかに大手のI都市開発もマンションに「頭のよくなる
     家」タイプのモデルルームを公開しているそうだ。

      住宅業界では以前から、孤立した子供部屋を見直し、
     親子の接触を増やす間取りの提案があったが、「頭の
     よくなる家」もその流れの一つで、何を今更という感がし
     ないでもないが、大胆な名称のみで多くの見学者が押
     しかけたことが驚きである。

      成約率がどの程度なのかわからないからなんともい
    えないが、本当にそのような家が存在し、それを住まい
    としての最大の価値として求めたとすれば信じられない。
     また、<住まい>をこのような手法で単純かつ画一的
    ・短絡的ににプランニングし、その効用を信じて飛びつく
    ユーザーがいることも驚きだ。

      <家族のコミュニケーションが取れる家>を何故「頭
     のよくなる家」、あるいは「頭のよい子が育つ家」とい
     うキャッチフレーズに変換して売らなければならないの
     か、そのあたりが<すまい>や<家族・生活>に対す
     る願いや思いより売り手側が効果的だと判断してネー
     ミングしたのだろうか。 
      そしてユーザーもそのネーミングに魅力を感じたのか、
     それとも単なる好奇心でモデルルームに押しかけたの
     であろうか。

       <家族のコミュニケーションが取れる家>というの
     は、住宅ならば当然のことで、コミュニケーションが取
     れなければそれはもはや住宅とはいえないのに・・・・
     ・・・・・・・。    
       言い換えればそれだけ家族、あるいは親子の対話
     が少なくなっている時代なのだろうか・・・・・・・・。

       ハウスメーカーのHPに「頭のよくなる家」診断チ
     ェックリストが掲載されていた。 どんな内容かと覗
     いてみると、親子のコミュニケーションに関する質問
     にYES or NOで答え、レベルを診断するというも
     のであった。(こんなことで判れば苦労しないよと思
     いつつやってみた。その時点で既にハウスメーカー
     の戦術に嵌った?と苦笑い。
     因みに私の家は67点でマズマズ。さらに努力を、
     という診断であった。

      単なる一ハウスメーカーのマーケティング戦略の
     話題としては面白いが、建築家のハシクレとしては
     少し引っかかるところもある。      
       もし、このようなキャッチフレーズやキャッチコピー
     で住宅の売れゆきが好調であれば、その内に、「離
     婚が絶対できない家」とか「将来お金持ちになる子
     が育つ家」等々のキャッチコピーの家が販売される
     かもしれない。

                                 

                                 2006/11

     No4
      
         
小さな街の活性化の手法とは
   
        〜 いんのしま中心市街地が元気になるために〜

      まちづくり3法の制定から7年、そして今年度、中心
     市街地活性化法を中心としたまちづくり3法がさらに
     改正になリました。わが郷土(旧因島市)はTMO構
     想を策定したばかりで今年から各種事業を展開して
     いこうという矢先の改正でありました。
      おまけに尾道市との編入合併になり、これまでとは
     異なる仕組の中で、まちづくりや、商業活性化の事業
     展開に関係者に戸惑いや混乱が生じているのも事実
     です。
      今回の改正は、どちらかといえば大中都市をターゲ
     ットに「選択と集中」よる支援内容で組み立てられて
     お り、地方の小都市、特に過疎化の進む町村単位
     では、再度、内閣総理大臣認定の基本計画を策定
     することが期待できないとすれば、既に策定された
     「基本計画」の事業を推進するしかありません。


      元来、商店街や商業の活性化は、商業者自身が努
    力・工夫して行うべきですが、個店レベルでは難しい
    課題も多くあり、特にまちづくりの観点から支援しない
    と出来ないことはこれまでどおり行政が側面から助成
    すべきだろうと思います。 ただ、行政には長期総合計
    画は存在しますが、具体的な商業政策は、「中心市街
    地活性化計画」以外見当たりません。
      しかも、現在の尾道市には三つも「中心市街地活性
    化基本計画」が存在します。それも法の改正で中途半
    端な存在になってしまったままで。

      しかし、今日のような都市間競争の激しい時代には
    尾道市としても、全市的な戦略的・長期的な商業政策

    は不可欠ですし、早急な策定が待たれることは異論が
    ないところでしょう。
     その中で、三つ(2市1町)の「基本計画」の融合的な
    調整を計って欲しいものです。

     しかしながら、新尾道市の中でも海を隔てた小さな街
   に過ぎない因島は、新たな「尾道市中心市街地活性化
   計画」が策定されたとしても、要件的には<中心市街地
   >にはなり得ず「選択と集中による支援措置」の恩恵に
   は浴さないのではないでしょうか(瀬戸田町も同じく)。
     となれば、因島としてはこれまで数年間かけてワーク
   ショップで描いた街の姿を、「中活法」に頼らず別の手法
   で実現させること考えた方が現実的ではないかと思いま
   す。  

  
      それは、「因島市中心市街地活性化計画」の中核的
   な事業を、あらゆる施策をしたたかに活用して粛々と着
    実に実現化する以外にありません。具体的な商業活性
    化に役立つ施策としては、「中小小売商業振興法」であ
    ったり、「中小企業近代化促進法」「中小企業新事業活
    動促進法」etcの国の支援策です。それらに加えて県・
    市の助成・支援策と、PFI等の民活を活用してまちづく
    りを行うことになります。また、市街地の整備改善につ
    いては因島TMOを中心に行政に対し継続的に強く要
    望していくことはいうまでもありません。

 
      今年度も多くの事業を展開していますが、旧因島中
    心市街地の商業者・地域住民のワークショップでつく
    られた「基本計画」の商業の活性化を中心にしたまち
    づくりの効果的な手法について考えてみたいと思いま
    す。


     商店街を活性化するために、駐車場、アーケード、カ
    ラー舗装、共同店舗等ハードを中心に国の支援策が準
    備され整備してきました。それはそれなりに一時的な役
    割は果したし効果もあったが、根本的な解決には至らな
    かった。それらは、消費者にとって便利になったけれど
    本質的に<欲しいモノ>ではなかったのです。そして、
    モータリゼーションの進展に伴い郊外へ大型店が進出し
    てきて中心市街地が沈滞し空洞化したことに鑑みて「中
    活法」が制定されました。
      この法律の中にも数多くのハード・ソフト両面の支援
    策が用意されましたが、都市の規模や商店街の立地に
    関係なく同じようなコトをしていては効果は望めません。
      規模・立地・地域性等によって適切な事業を選ばなく
    てはなりませんが、共通していえることは地域住民が必
    要とする店舗・商品を独自性の高い手法で取り揃えるこ
    とに尽きると思います。
      言い換えれば、言えばマーチャンダイジングに基づく商
    店街づくりです。案外この基本姿勢が忘れられていたの
    ではないでしょうか。
      ここでは、小さな街の商店街というまちづくりの手法につ
    いて考えてみたいと思います。
     小さな街の地元密着型商店街には下記の5Cがポイント
    です。


    ◆ Community Business & Communication 
    ◆ Conversion
    ◆ Composition & Collaboration              
 
   (1)Community Business & Communication 
        
(地域課題解決ビジネスと地域住民との対話)

      商店街に限らず街を活性化するもっとも効果的な方
    法は多くのビジネス(仕事)を興すことです。
      空き店舗、空 き家が多くては街は活性化しません。
   廃業が開業を上回って十数年が経過しますが、全国的
   に商店街がシャッター通りといわれるくらい年々空き店
   舗が増えています。
     そうすると自然に人通りが少なくなります。さびしい通
   りになると余計人が集まらなくなり、賑わいがなくなる。
     この悪循環です。
     「人が人を呼ぶ」。これが商店街ですが、商店街が寂
   れてきたことは、勿論人口の減少もありますがそれだけ
   ではありません。もっと様々な要因があります。    

      それはさておき、空き店舗対策はどの街でも行って
    いますが、あまりうまくいった例は少ないようです。
     
「家賃補助」や「チャレンジショップ」にみられるよう
    な「補助をするから出店してください」というような甘や
    かした支援策やり方だけではうまくいかないでしょうし、
    家賃が1年間半額になったからといってうまくいくほど
   <商売>も甘くありません。それよりも今、小さな街の
   小さな地元密着型の商店街に求められる店は、地域
   (コミュニティ)で必要とされるその地に密着したビジネ
   ス(福祉、子育て、教育等といった分野から観光、商業
   にいたる幅広い分野)ではないでしょうか。
     すなわち、コミュニティビジネスです。
     コミュニティビジネスというとボランティアと決めつける
   ひとがいますが、これらはボランティアではなく,あくまで
   適正利益、適正規模のビジネスです。言い換えれば地
   域で必要とされる(あったらいいなあ)と思われるいわゆ
   る“小商い”です。商業者も、出店しようとする起業者も
   <何が求められているのか>、<何が儲かるのか>を
   地元の生活者から答えを引き出さなくてはなりません。

    そのためには、地域住民の声を聞き会話を交わさ な
   くてはなりません。すなわちコミュニケーションです。
    大型店や量販店では望めない言葉や気持ちのキャッ
   チボールです。そうした地域住民の声の結果に基づいて、
   地域の高齢者、子供たちなど住民が欲しがるお店を誘致
   するなり、自分たちで興すことが元気の出る商店街、まち
   づくりの第一歩ではないかと思います。

    最近、創業塾(起業塾)等でよく感じることですが、ビジ
   ネスプランを作ることも勿論重要ですが、それ以前に起
   業の(ネタ)の見つけ方や、ニーズ探索の必要性を知って
   もらうことの方が先決かなと思います。
大きな企業(店
   舗)誘致をするより、地域の皆さんが望む小さなビジネ
   スを(それもハイテクでなくてローテクでもいいじゃありま
   せんか)沢山興すことの方が現実的な手法ではありませ
   んか?



      (2) Conversion(用途変更,用途転換による施設再生)


     昨今、建設業界では保存・改修工事が注目されてい
   ます。それも単なる改修というよりもっとダイナミックな
   コンバージョン(Conversion:用途変更)です。
     これは建物を従来の用途から新しい用途に転換させ
   ることによって建物としての更なる延命をはかろうとす
   るものです。これは、使えるものを安易に壊したり建て
   替えする時代すなわち、かってのスクラップアンドビルド
   の時代ではなく、地球環境重視の時代の到来に相応し
   くこれからもっと増えるでしょう。
近年の市町村合併にと
   もない不要・遊休の施設が公共、民間を問わず生まれ
   ました。少子化にともなって学校建築も不要になってき
   たところも多くあります。
      また、街には空き店舗、空き家、あるいは不況業種
   の建物で使われていない建物などあちらこちらに見受
   けられます。
     以前でしたら、すぐに建て直しをしてきましたが、地球
   環境保護の見地からだけではなく、かって親しまれてき
   た建物を保存しようという文化的見地、あるいは、現実
   的な建築法規上、経済上の理由等で再生という手法が
   選択された事例が増えています。
     それも単に「もったいない」という経済的な理由だけで
   なく、積極的にその建物の印象や記憶を継承しつつ、し
   かも新しい創造空間として新たな命を吹き込むのがここ
   でいうコンバージョンです。
商店街に限らず、街なかに使
   用されていない建物が存在するだけで、街の賑わいは薄
   れます。だからといって空き店舗対策事業のようにどんな
   業種であろうと入店してしまえばいいというものでもありま
   せん。そこには、その街に必要とされる業種のお店であっ
   たり、高齢者住宅、福祉施設など戦略的なまちづくりの観
   点から選択されるべきでしょう。
     弊社も2003年、弊社設計のホテルを解体寸前にオー
   ナーに提案して介護福祉施設にコンバージョンしましたが
    、閉店して以来人通りも少なく数ヶ月間寂れていた街並
    みが介護福祉施設として再生してから賑わいを取り戻し
    たのをみるとコンバージョン手法の可能性は大きいと思
    います。

     ただし,耐震性や建築基準法の制限、縦割りの行政の
  弊害などハードルは決して低くはないし、一施設の再生は
  所詮点としての影響しか持たないように思えるが、因島市
  中心市街地活性化基本計画の方針にあるように行政(A
  dministration) 、事業(Business)、住民と地域社会
  (Citizen&Community)、市民団体(Democratic Or
  ganization) の連携(ABCDパートナーシップ)が得られ
  れば、街の再生も面的な広がりを持つことが出来ます。




        (3)Composition & Collaboration 
           (街の構成及び共同ものづくり、協力)
  
     地域商業の活性化は、あくまでまちづくりという目的を
   実現するための一つの手段として位置づけるという発想
   がベースにあるべきで、逆にまちづくりを手段として商店
   街活性化を実現しようという発想は本末転倒と言わざる
   を得ません。

     本来、どの街にも他にない独自性をもっている筈です。
   その独自性を活かしてまちづくりをすることが同時にその
   地の商業の活性化に繋がるのです。
    小さな専門店が大型の量販店や百貨店のような戦略を
  真似しては勝てないのと同じように、小さな街には小さな
  街が採るべき戦略・戦術がある筈です。

    因島市中心市街地活性化基本計画は、策定方針として
  独自性の高いまちづくりをみんなで模索した筈です。

    その多くの事業は、まちの将来ビジョンを実現をするた
  めに必要とおもわれる道路、施設等のハード、それに加え
  て各種のソフト事業です。
    これらの構成要素が面的に相乗効果を発揮してこそ活
  性化が図れるのです。但し、具体的な店舗の構成、業種・
  業態の構成、すなわちテナントミックスはTMOの裁量に委
  ねており,その手腕に期待がかかるところです。
    小さな地元密着型商店街は大きな街の商店街、すなわ
  ち広域型商店街と同じような店舗構成、商品構成をしては
  なりません。地元密着型の商店街らしく地域住民のための
  最寄品を中心とした商店街に徹すべきです。
   現在の土生商店街は中途半端な店舗構成のような気が
  します。一つ例を挙げれば、食品や飲食のお店が少な過ぎ
  ます。これでは来街頻度が上がりません。
    そして、もっといろんなセクトのコラボレーションが必要で
  す。商店街同志、店舗同志、大型店と専門店、商業者と地
  域住民、行政と市民等のコラボレーショ ン如何でまちづくり
  の成果が大きく左右されると思います。



                                  


                                2006/10

  No3

      建設業の農業ビジネス参入のポイント

                    
    先日、広島県主催の「農業ビジネス参入セミナー」を受
   講しました。基調講演は「農業ビジネスの可能性〜建設
   帰農のすすめ〜
と題して米田雅子氏(東京工業大学統
   合研究院 特任教授)が建設業者の農業ビジネス参入を
   全国事例を紹介しながらの講演で非常に興味深い内容で
   した。
    最近、建設業の新分野進出の有力な分野として多くの
   企業が参入し始めていますが多くの課題もあるようです。


    「少子高齢化が進展して多くの集落が消滅し、農地や森
  林の放棄による国土の荒廃が懸念される」一方「財政危機
  で公共事業費が削減され、地域の建設会社が急激な縮小
  を余儀なくされている今日、多角化で生き残り、地域ビジネ
  スを興しことが地域振興につながる」ので、建設会社が多角
  化メニューの一つとして農業あるいは林業・水産業への参入
  が効果的で、<地方再生の切り札>になるのではないか、
  という論旨でした。



    米田雅子氏の言われるように、本当に農業ビジネス参
  入が建設会社にとって企業再生の切り札になりうるには
  慎重なビジネスプランを作成して臨むことが不可欠です。
    そのポイントについて考えてみましょう
。                                                  

    昨年9月施行の改正農地法などで、構造改革特区だけ
  に認められていた一般の株式会社やNPO法人の農業参
  入が可能になりました。農地は購入できないが市町村の仲
  介で耕作放棄地(中国5県で15%増加)を借り受けるもの
  で、建設業のみならず食品、外食、酒造会社などの参入が
  見込まれると言われています。
    参入ハードルが低くなったということはということは、それ
   だけ競合も激しくなる ということです。新規創業ではなく、
   建設業という本業に加えて、農業という分野で更に異業種
   参入との競合に勝たなければならないのですから、より慎
   重に競争戦略を考慮したビジネスプランを練り上げる必要が
   あります

 
    取り合えず参入障壁は低くなった。とはいえ、まだまだ課
  題は多くあります。
    先ず、「何を作るのか?」「売れるものは何か?」ですね。

    一口に農業といっても耕作物は山ほどあります。
  創業塾でもよく見受けられるのですが、簡単に○○屋さん
  をやりたいからといってビジネスプラン(まだビジネスアイデ
  アの段階なのですが)を見せられるのですが「事前調査不
  足ですね」といって指摘すると今度は別の△△屋のプラン
  を作ってくる。
   この例と同じくらい軽い感じで、他人にすすめられたからと
  か、「これにでもしようか」という程度で耕作物を決め、事前
  調査に基づいたニーズに裏打ちされた「どうしてもこれを!」、
  あるいは「これならば!」という確固たる理由がない場合が
  多いような気がします。
    先ず、「市場はあるのか? それも充分な!」です

                                        
    次に、「本業との相乗効果があるのか?」です。経営資源
  の活用は勿論、経営戦略上、営業戦略上、財政強化上、労
  務管理上等あらゆる面で相乗効果が望める分野が望ましい
  ことは言うまでもありません。


    中小建設業界も農業界も、過去の歴史の中でマーケティ
  ングを営業・販売・仕入戦略に活用した例はほとんどなかっ
  たのではないでしょうか。(農協や行政主導型の業界なので
  必要なかったのかもしれませんが)
    しかし、今日のように流通経路が多様化・複雑化した状態
    では、小売業と同じような感覚でマーケティングの仕組みを
   取り入れないと激しい競合にはなかなか勝てません。
    これからの建設業や農業は、横並びの経営ではなくマー
   ケティングの仕組みで営業に取組み、同業他社との差別化
   を図ることが求められると思います。      
                                       

    次に、建設業も農業も機械類への設備投資が大きい業
   界です。アタッチメントを換えるだけで両方に使える機器類
   が出来れば一石二鳥なのですが(米田先生の弁)、それ
   よりも設備投資と事業収支計画のバランスを考えて行いた
   いものです。建設業界においても、稼働率や収支バランスを
  考えずに、見栄で重機を買ったりする例が少なくありませんが、
  農業でも皆無ではないようです。(他のコンサルタントから聞
   いた話ですが) 
     是非事業計画の中で検討して下さい。        
                                      

    もう一つは、建設業者も農業者も割合苦手な情報の活用
  です。建設業もこれまで主に官公庁に顔を向けて営業してき
  た関係で生活者に対して工事者の顔が伝わっていないこと
  が多かったと思います。同様に、農業者もこれまでは生活者
  に対して顔が伝わっていないことが当たり前でしたが、最近
  は生産者・生産地の顔が見えないと売りにくいということを考
  慮すれば、作り手の情報をどちらも発信して生活者と顔の見
  えるコミュニケーションを構築する戦略を採るべきです。

  
   このように農業は一次産業で建設業は二次産業で異なり
  ますが、近年ではその業際は希薄になり、全て六次産業とい
  っても良いくらい同じような戦略で生活者や地域に支持され
  ないと企業は存続しえないといわれております。
   柔軟に異業種から学ぶという姿勢が経営者に求められて
  いると思います。

    建設業が農業分野に進出していく上で障害になっている
  点として、行政の縦割りの支援策、金融機関の融資制度が
  ありますが、柔軟な対応が求められるところです。

    いずれにしても、建設企業が生き残るには、視点を変え、
   考え方・戦略を変え、行動を変えて果敢に挑戦、そして実
  践しなくてはならない時代ではないでしょうか。
 
                                   
        

       
                                 2006/9
   No2

          商店街の活性化について考える 
           〜TMO事業を推進させるために〜

      ◇市町村合併とまちづくり三法改正の影響◇ 
         
   我が町因島市は2003年中心市街地活性化基本計画を策定
  した。翌2004年にはコンセンサス形成事業、そして2005年因
  島TMO計画を策定したが、2006年には尾道市との合併、まち
  づくり三法の改正等、旧因島市中心市街地商業を取り巻く環
  境はめまぐるしく変化した。結果として1市に三つ中心市街地
  と、三つの基本計画が存るという奇妙な状態となった。
    それはさておき、今後も「基本計画」に基づいてそれぞれの
  地区が事業を推進していくわけだが当分の間、混乱は避けら
  れないだろうし他地区との調整も当然必要になるケースもある
  であろう。
    「商業等の活性化」はともかく、もうひとつの“柱”である「市
  街地の整備改善」について市当局はどのような支援、調整を
  するのであろうか。
    因島TMO構想については、商工会議所のまちづくり特別委
  員会を中心に各事業部が計画をひとつひとつ着実に実践して
  いくのが<活性化>への近道であろうか。

                                   


                                 2006/9
   No1

       ◇ 「一店逸品運動」で感じたこと ◇

   今年度の商業活性化事業の「一店逸品運動」がスタートした。
  この運動は静岡市呉服町商店街から始まって今や、全国的に
  広まっている。この事業のコーディネータを依頼されてからいろ
  いろと情報・資料集めのため、これまで実施された先進地商店
  街のホームページや資料(議事録、カタログ、チラシ等)を調べ
  てみた。
    先ず、逸品とは何か、そして何のためにやるのか、運動展開
  の手法etc.しかし、現代のようにモノあまりの時代に果たして
  逸品が見つかるだろうか?等の疑問もわいてきた。 
    調べていくと、運動展開の規模、展開の手法、逸品等千差
  万別である。“逸品”にしても地域性が感じられる微笑ましいモ
  ノから「これ少し違うんじゃない?」と思うモノもあるが、どの商
  店街もなかなか頑張っていることだけは共通している。
    あまり難しく考えないで、この運動の効用はどこにあるかと
  いう、そのために何をするのかという切り口で考えることにし
  た。   
    すなわち、<一店逸品運動>はマーチャンダイジングその
  もので、顧客のニーズに即した“品揃え”の大切さと、商品の
  すばらしさを伝えることの大切さを再認識することである、と定
  義づけた。そう考えれば、自店の現状把握、顧客のニーズの
  把握に始まって、購買代理人としての役目を十分に果たして
  いるか、仕入れを問屋まかせにしていないか、商品情報収集
  は万全かなどの総括、そして商品の良さを伝達する陳列・展
  示・POPは十分にその役目を果たしているか、等々お店づく
   りそのもを見直す、そうして多くのお店が“品揃え”を充実さ
  せれば、又、商店街にお客様が帰ってくる、賑わいが取り戻
  せる、これが<一店逸品運動>の効用なのではないだろう
  か。
    このように考えてくると、“逸品”は単なる結果で、“逸品探
  し”のプロセスが重要である。商店街活動の中で、これまでタ
  ブー視されていた他店の<品揃え>について本音で話し合う
  ことは、考えてみれば画期的なことであるが、同時に個店経
  営の限界を象徴しているような気がしてならない。個店がそれ
  ぞれ魅力を備え、その集合体として商店街活動が存在すると
  すればロードサイド大型店に負けない集客力を発揮するので
  はないだろうか。