ワークショップの活用法

行政・商工会・商工会議所のまちづくり担当者の皆様へ
まちづくりを行うとき、地域住民が自らの生活の場のデザインを他人(行政)任せにしないで、そのプロセス
に参加することが増えてきましたが、全国的にはまだ少ないように思われます。
近年、 弊社が関った「中心市街地活性化基本計画」や「温水プールの基本計画」等は地域の方々とワーク
ショップ方式で策定しました。行政もこれまで地域計画等をワークショップ方式では策定してこなかったことも
あって 当初、行政サイドでも反対はしませんがあまり乗り気ではないようでした。そしてその効果についても、
少なからず半信半疑という感じを受けました。
このようなプロセスに、いわゆる「素人」である住民が参画することには、賛否両論があり、反対しないまでも、
その効果について疑問視するコンサルタントやコーデ ィネーターが存在することも事実ですし、行政サイドの懸
念する気持ちも理解できます。
地域のニーズを計画に反映させるために地域住民に聞くという場合、大変多くの意見が続出します。そして、
それをすべて実現させるためには莫大な予算が必要です。
しかし、行政には予算内という限度や、様々な制約があり、すべての要望に応えることは当然不可能です。
時には<住民エゴ>が強すぎて調整がつかないというケースも皆無ではありません。そのようなケースを
考えると積極的になれないというのも肯けます。
そうかといって、これまでのように、行政が地域の要望や意見を住民団体の代表から聞いてその中から可
能な範囲内での最大公約数的回答を反映させるというやり方でコト足りるという時代でもありません。
何故かというと、地域住民の価値観や行動様式などは、多種多様で、しかも複雑化した今日では、行政や
専門家の考えだけでつくっても満足なモノが得られるかどうか疑問ですし、地域住民には、自分達の生活の
場を、自分達の手で協働してつくりあげる権利をもつのと同時に、その運営に一定の役割を果たさなければ
ならないという義務も生じるからです。
前述の「中心市街地活性化基本計画」や「温水プールの基本計画」の時は、KJ法やキャスティング法、ブ
レインストーミング、タウン・ウォッチング等を使って要望・アイデア・ 課題・解決法等を抽出して意見収束して
いきました。最初は、戸惑っていた人たちも馴れるに従って意見百出で予想以上の成果があったのではない
かと思います。
ワークショップのどの手法が適切かは、その達成目標によって異なりますが、どの手法も参加者から公平
に、しかもより多くのアイデアや考えを引き出すことが目的であることに変わりはありません。
そしてより高い効果を得るためには、手法の選択、プログラミングやディブリーフィング(意見交換・まとめ)
のテクニック、そしてファシリテーターの力量が重要であることはいうまでもありません。
このように考えると、ワークショップって大変な作業だと思うかもしれません(実際ものすごくエネルギーが
要ります)が、これからのまちづくりを行うには、大変有効で不可欠の手法の一つであるであることには違いあ
りません。それは、このワークショップは、参加者(地域住民)同志のコミュニケーションを図りながら合意形成
に至るプロセス自体がまちづくりそのものだからです。このプロセスが大事なのです。
しかし、同時に万能でないことも理解しておかなくてはなりません。参加住民の意見だからと安易に結論づけ
る危険性もはらんでおります。
ファシリテーターは、ワークショップがより多くの意見収集・集約の共同作業の一つに過ぎないという冷静さを
もって進行させなければなりません。
ある程度意見が出た段階から、不足しているものがあれば、徐々にプロとして最初から持っている複数のヒン
トやアイデアを提示し、さらにバージョンアップした回答を引き出す、この繰り返しの方法がこれまでの経験から
最も効果的だと思います。
小さな公園、商店街のファサード整備、密集地域の住環境整備、共同建て替え、建築協定など生活空間をデ
ザインしたり、住みやすい、あるいは住みたくなる街を計画する場合などは、これまでの行政主導型のまちづくり
よりも、地域住民参加型のワークショップで行う方が、時間とエネルギーは多く費やしても結果的には価値の高
い効果が得られる手法のように思えます。
この他にも、多くの活用法があります。
商店街のコンセプトづくり、個店の「一店逸品運動」の逸品選びの検討会、等にも有効な手法ですし、一般企
業の経営理念(使命感づくり)や経営戦略策定等にも、ワークショップ手法を用いて策定すれば、時間も手間も
かかりますが結果として組織構成員のコンセンサス形成に大きな成果をもたらすのではないでしょうか。
一度お試しになっては如何ですか。
